こんにちは、Nocchi(のっち)です。
これまで交わりそうで交わることとなかった僕とFUJIFILM X100V
このカメラがコンデジであること、そしてX-E4を愛用していることから用途の重複を危惧して手を伸ばさなかったこと等々他にも理由はあるのですが、ちょっとした事情があってここ最近X100Vを使っていました。
今回はX100Vを作例と共にレビューしていきます。
FUJIFILM X100V
2020年の2月に発売されたコンパクトデジタルカメラである「FUJIFILM X100V」
APS-Cセンサーを積んだレンズ一体型のコンデジであるX100シリーズの5世代目。一世代前のX100Fはボディ天面素材にマグネシウム合金が採用されていましたが、トップカバーとボトムカバーがアルミ素材に変更され、カバー表面にはブラスト処理、アルマイト加工による着色を施されているため金属本来の質感を伝える外観が特徴です。
更にはレンズもⅡ型に刷新されました。これまでの焦点距離とF値などの数値には変わりはありませんが、光学設計が変更となりました。
他にも様々な変更点がありますが、後程触れていきます。
X100Vのスペック
まずは基本的なスペックをチェックしていきましょう。
レンズ一体型のカメラではありますが、それぞれ触れておきたいことがあるためカメラとレンズのスペックを分けて見ていきます。
カメラのスペック
カメラとしての基本的なスペックはこちら
価格 | 約16万円 |
サイズ | (幅)128.0mm×(高さ)74.8mm×(奥行き)53.3mm (レンズ込) |
重量 | 478g(レンズ、バッテリー、SDカード込) |
有効画素数 | 約2610万画素 |
センサー | X-Trans CMOS 4 |
エンジン | Processor 4 |
連写 | 約30コマ/秒 |
ISO | 160~12800 |
手ブレ補正 | なし |
液晶モニター | 3インチ 162万ドット |
ファインダー | 0.5型約369万ドット |
価格はあくまで発売当初の店頭販売価格です。今は高騰状態で新品で270,000円前後、中古であっても250,000円を切れば安い方という価格になっています。
イメージセンサーには、有効画素数約2,610万画素の第四世代センサーとなるX-Trans CMOS 4センサーを搭載。画像処理エンジンもX-Processor 4が採用されており、X-T4、X-Pro3と同じ写りが可能と言えます。
X100Vの最大の特徴とも言えるのが、ハイブリッドビューファインダー。OVFとEVF両方を使うことができる本機能ですが、EVFの解像度が236万ドットから369万ドットにOVFの視野率が92%から95%と両方とも向上しています。
レンズのスペック
次にカメラに固定されているレンズについて
焦点距離 | 23mm(35mm換算 34.5mm) |
F値 | F2 |
最短撮影距離 | 0.10m |
レンズ構成 | 6群8枚 |
絞り羽根 | 9枚 |
内蔵NDフィルターの効果 | 4段 |
フィルター径 | 49mm |
焦点距離23mm、開放F2、最短焦点距離0.10mは既存踏襲。前モデルでは非球面レンズは1枚でしたが、今回からは2枚を含む6群8枚のレンズ構成になりました。内蔵型のNDフィルターも1段分強くなり4段に。
カメラとレンズともにスペックは十分。コンデジでありながら一眼カメラと同等の写りをしてくれるのは頼もしさしかありません。
X100Vの外観
続いてX100Vの人気の根源ともなっている外観について
この見た目です。フィルムカメラかのようなクラシカルなデザインと珍しいレンジファインダースタイル。カメラだけでなく一つのお洒落アイテムとして持ち歩きたくなる絵になる見た目をしています。
前面にはOVFとEVFの切り替えが可能なファインダー切換レバーがあります。ちなみにレバーだけでなくファンクションボタンとしても使用可能です。
シャッターボタンからのアクセスが近いため使用頻度の高い設定を割り当てておくことで撮影効率を上げることができます。
ISO感度ダイヤルはシャッタースピードダイヤルと同軸に配置されている独特な配置。
このダイヤルの外周部を引き上げるとISO感度の変更、外周部を戻すとシャッタースピードの変更が可能となっています。このへんのメカメカしいギミックもついつい触ってしまう一つの要因なのでしょう。
背面はこんな感じです。写真では分かりにくいですが、背面には少しだけグリップがあります。手のサイズにもよりますが、僕はこのグリップがあることで握りやすくホールド感があるという印象は正直ないです。かといって邪魔になるほどの出っ張りでもないため気にはなりません。
背面モニターはチルト式となっていてタッチ操作も可能です。収納時はボディ背面とフルフラット状態になりスッキリとした印象があります。
続いてレンズです。23mmの単焦点ゆえここからレンズが伸びることはなくこの薄さを常にキープします。カメラの持ち運びやすさは軽さ以外にもこのレンズ部の出っ張りがかなり大きく作用するのでこの薄さは非常にありがたいところ。
ズーム機能のあるコンデジはカメラを起動して、そこから一度レンズが繰り出してから撮影可能状態となるものが多いですが、X100Vは起動したと同時に撮影が可能であることもシャッターチャンスを逃さないという意味で優秀です。
シャッターボタンには毎度のことながらソフトシャッターレリーズを付けています。
賛否分かれている印象もありますが、地味に気に入っているのがレンズキャップ
見た目の可愛さもあるのですが、はめ心地がなんとも気持ちいい。柔らかくレンズを覆い被さるこの感覚はカメラで初めての体験かもしれない。
レンズキャップを装着した見た目も極上。これで一つのモノとして完成する美しい設計。
X-E4とのサイズ感比較
永遠に比較され続けるX-E4と並べてみました。X-E4にはXF27mmF2.8 R WRを付けています。
幅と奥行きはX-E4のほうが短いためX100Vのほうが持った時のゴツさがあります。
自分自身もそうでしたが、X100VとX-E4を比較してどちらを買おうか悩んでいる方が多くいるみたいなので、そんな方はこちらの記事も参考にしてみてください。
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X100Vの作例とレビュー
さてお待ちかねの作例タイムです。いつものように作例を載せながら使っていて気になった点を挙げていきます。
コンデジの皮を被ったハイスペックカメラ
レンズ一体型カメラがコンデジであるならばその定義を変えてほしいものです。
スペックからも見てわかるとおり、X-T4やX-Pro3と同等の写りをするのですからもちろん素晴らしいです。これをコンデジとカテゴライズされたカメラで撮れるのですから満足度が高いのは納得です。
刷新されたⅡ型の写りもいい。カリカリまではいかないクリアでハッキリとした描写。絞り開放からキレがあり被写体の質感や立体感を表現してくれます。
歪曲収差もしっかり抑えられていて細部までしっかり描写されています。
驚いたのは逆光耐性。大口径レンズほどの綺麗な光芒が出現するわけではないですが、厭らしいフレアやゴーストがほとんど出ないため逆光を用いたストリートスナップにも積極的に使うことができます。
撮影テンポの良さは随一
X100Vを使っていて感じるのは撮影テンポの良さ。ズームもできない、レンズの交換もできない、この制約により全ての迷いを取っ払ってくれます。
画角の調整ができないのなら足を運ぶ。後は限られたルールの中で構図を組み立てる。
撮影中に考えることはたったこれだけですから、一瞬を逃すこともなければ後悔をすることもありません。
撮影に集中しながらもサクサクと撮っていけるテンポの良さはこのカメラの右に出るものはいないかもしれません。
全ては23mmをものにできるか
X100Vと付き合えるかどうかは焦点距離23mmと仲良くすることができるかにかかっています。
ちなみに僕がX100Vと距離を置いていた理由はこの23mmという焦点距離にあります。風景を撮るには少し物足りなく、何かを切り取るには遠い。
視界にぼんやりと写っている光景を素直に写し取る画角は個人的に相性が悪かったのですが、XF23mmF1.4R LM WRというレンズを使ってから少し克服したと思い今回X100Vを使ってみました。
どうやらそれは気のせいで苦手なものはやはり苦手でした。普段から目付をしているポイントが合っていないのでしょうね。レンズのために目付のチューニングをするのも本末転倒なので潔く諦めます。
風景ならまだしもスナップにおいては意識的に一歩近づかないといけないですが、ここの得意不得意は性格や普段の行動で分かれることでしょう。
絞り開放F2と最短撮影距離0.10mmの頼もしさ
これはX100Fでもそうでしたが、この小さなレンズにも関わらずF2の明るさは頼もしいです。
23mmなので被写体に相当寄らない限りはボケ感は活かせませんが、このサイズにも関わらず明るいというのはもはやデメリットなしのレンズと言えます。
そして地味に嬉しい最短撮影距離0.10mmという近さ。この近さで普段使いできるかどうか大きく変わります。
スナップだけならまだしも旅行やテーブルフォトの選択もできるのはX100Vの大きな特徴の一つです。
みんな大好きクラシックネガが使える
やたらと人気のあるクラシックネガを含む全19種類のフィルムシミュレーションは気軽さにエモい色味をプラスしてくれます。
富士フイルムといえば美しい色表現。この色表現を感じられる一つとして気軽に使えるフィルムシミュレーションがあるのはいいですよね。
クラシックネガの特徴については以下の記事で詳しく書いているので読んでみてください。
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果たしてコンパクトってなんだっけ
X100Vの良いところはという問いに対して必ずと言っていいほど挙がってくる軽量コンパクトという答え
確かにコンデジ=コンパクトデジタルカメラですからコンパクトと謳っているのはわかるのですが、手放しで褒めるほどではないというのが正直な感想です。
僕の中ではレンズを付け変えられないX-E4という認識。もっと言うとX-E4の下位互換。ハイブリッドビューファインダーや見た目のお洒落さは撮れる画には直結しないところもあり、僕はさほど重視しないためこの認識になるのは承知しています。
というのも悪いポイントが捻り出したかのような舌打ちのようなシャッター音や価格の高さや手ブレ補正がないばかりが挙げられるのは疑問であったということもあり、今回は正直に言わせていただきます。
決して軽くも小さくもないよね?
AFは満足レベルにはない
昔の富士フイルムのカメラはAF性能が良くなく、そこから改善されたという意味でX100VのAFは早いというレビューも出ていますが、何も高速というわけではありません。
X-H2S、X-T5や他のメーカーのカメラを使っている人からすると一段階遅いです。動きものに対しても百発百中で捉えられるわけではないので、信用しすぎない心構えが重要です。
防塵・防滴対応だが…フィルター周りが不便極まりない
アダプターリングの「AR-X100」とプロテクトフィルターの「PRF-49」を組み合わせることで、防塵・防滴にも対応できるとされています。
防塵・防滴が全くないよりは拡張したとしても対応できるのは嬉しいところですが、そのためだけに二つのアイテムを装着するのは気が引けます。
アダプターリングを使わないと他のフィルターも使えないというのも残念。NDフィルターは内蔵されているのでいいものの、ブラックミストやホワイトミストを使いたい人からすると不便です。
他の作例
それでは他にX100Vで撮った写真を載せておきますので、参考程度にご覧ください。
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最後に
とここまでX100Vの正直なレビューをしてきましたが、今でもX100Vの人気は留まることを知らず富士フイルムでも生産を止めている状態となっています。
新品を手に入れることも困難で中古で手に入れようにしても価格の高騰が止まらず20万円後半から30万円のレンジで取引されている状態です。そんなX100Vの高騰理由と背景については以下の記事で詳しく書いているので一緒にお読みいただけると幸いです。
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